岐阜市珈琲(コーヒー)マップ
PROFILE(プロフィール)
・学生時代の先輩が岐阜でやっている喫茶店に遊びに来た樋口さん。
東京暮らしの樋口さんにとって喫茶とは「風月堂」など純喫茶のイメージが強かった。
おりしも岐阜は喫茶店ブーム最盛期。「モーニング」の洗礼を受け、その強烈な印象から1983年に岐阜へ移住。「これは商売になる!」と勘が働いた。
“珈琲”が天職になってしまったきっかけは?
喫茶店がやりたくて岐阜に移住して2年経ち、1985年に念願かない居抜き物件を購入、喫茶店を開業しました。
初めて自分で淹れた珈琲の感想は「不味い」。とにかく不味かった(笑)
珈琲って何だろう?って思いました。今まで喫茶店で飲んでた珈琲は美味しいのに、自分が淹れた珈琲はこんなにも不味い。この違いは何だろう、と素朴な興味が湧きました。当時「自家焙煎」が始まりかけた時代。「まずは生豆を手に入れてみよう!」自然と探求心が膨らんだのが、商売の原点です。
なぜ岐阜にお店を構えたんですか?
学生時代の先輩が東京から岐阜に移住して、喫茶店を開業してました。東京から遊びに来て「モーニング」を初体験。珈琲に味噌汁付きの朝ごはんが付いて220円!びっくりしました。東京には無いカルチャーでした。これは商売になりそうだ!と興味を持ったのが素直な感想。喫茶店ブーム全盛だった時代に岐阜を知ったことが移り住んだご縁かもしれません。
お店として「珈琲」のどんなところに、こだわっていますか?
珈琲が「不味い」の原点から、勉強を重ねてだんだん分かってきたのは、当たり前のことですが「珈琲は(も)農産物である」こと。苗を植えて花が付くのに3年。そこから収穫まで9~11ヶ月。珈琲になるまでに大変時間がかかります。その間の天候や肥料の蒔き方、畑の土壌、畑の標高の高低など様々な要因が豆の品質や味を左右することを知りました。同じ豆を選んでも年により全然味が違う!面白い!
産地や品種が特定できる豆を選び、焙煎し、お客様の一杯の珈琲を淹れるまでの「全工程」にかかわることが楽しくなりました。現在は、いわゆる「スペシャルティ(高品質)コーヒー」を仕入れています。
珈琲工房ひぐちさんの「珈琲」の特長を教えてください。
珈琲は嗜好品。十人十色でいいと思います。多様な味をご提案したいと考え、焙煎度合は中煎りから深煎りまで揃えています。
ブレンドは創作の味、リーズナブルに飽きない味を大切にしています。産地のシングルオリジン(単一農園)は、それぞれの個性に合わせた焙煎を追求しています。
珈琲以外で気にして、こだわっていることはありますか?
うちの店はお客様にとって「憩い・活力・安らぎ」を得られるコミュニティでありたい、ということが店運営のコンセプトです。まずは隣近所を愛する仕事の仕方。そうすれば隣近所の方々に愛され、利用される。高齢化が進んでいく時代、喫茶店には希少価値があります。珈琲工房ひぐちのお店で隣近所のお客様同士が自然と輪になって繋がっていっています。そこから日々の「憩い・活力・安らぎ」を得ていただいています。従業員に常々伝えているのは「お客様に満足していただいてお帰りになっていただくこと」が私たちの仕事である、ということです。挨拶といった基本的な接客を大切にするのは当然ですが、特に伝えているのが「お客様の背中に書いてある文字を読み取る」こと。満足されたか、そうでなかったか、お客様は直接言葉にしなくても「背中に書いてあるよ」。つまり醸し出す雰囲気で分かる。それを感じ取って、自らの接客やお出しした珈琲がどうであったのか「振返って」日々改善していく、ということを大切にしています。
一押しメニューを教えてください。
毎日、日替わりで様々な産地のコーヒーを1杯430円でご提供しています。
モーニング、ランチ、デザート(すべて自家製)、時間帯に合わせて、コーヒーと共に楽しんでいただけるメニューをご提案しています。
毎月「第2日曜日」は「パナマ エスメラルダ ゲイシャデー」として、世界的に有名なコーヒーを楽しんでいただく企画をしています。通常1杯1,000円を540円でご提供しています。
岐阜ってなぜ珈琲や喫茶文化が盛んなのですか?
よく言われるように尾張一宮や岐阜は繊維産業が盛んだった影響で独特の喫茶店文化が栄えました。その余波か、街の喫茶で珈琲を飲む人が今でも沢山いらっしゃいます。沢山消費されるということは、必然的に良い珈琲、なかでも「鮮度感の良い」珈琲が増えてくる環境だと思います。
また、切磋琢磨するお店や珈琲屋さんが多いと思います。家計に占める外食費が全国的にも多い地域です。お客様の目や舌が肥えているから、提供する側も必然的に切磋琢磨するんだと思います。その質の高さが岐阜の珈琲や喫茶の魅力だと思います。
SHOP INFORMATION
■東愛知日産自動車オリジナル取材・書き下ろし supported by まいぷれ岐阜(監修:岐阜県珈琲文化研究会)